フィネ ス


  いちか、ばちか。オポーネントの絵札のラッキーな配置に賭けるプレイ。それがフィネスです。

ball0 勇気を出して

  「為せば為る、為さねば為らぬ、何事も」
  成功か、失敗か。50%のチャンスでも、0%よりはずっといい。負けを恐れず一歩踏み出す勇気が、ブリッジには必要なのです。

1.Kのフィネス

  N
S K10x
H AQx
D AKxx
C xxx

  S
S AQJxx
H xx
D QJxx
C AQ 

S by S 、オープニングリード:H

  スーツコントラクトですから、ルーザーを数えます。
切り札のSDはAKQJ(10)までそろっているので 安心ですが、HCはともにAQの形です。Qは普通に出せば Kに負けるカードですから、ルーザーは両スートに1個づつの、計2個です。6Sをメイクするにはどちらかを処理しなくて はなりません。

  ダミーの長いスートの下にも捨てられないし、切り札でラフすることもできません。どうしますか?

   こういうときは、Kに負けることなくQで勝てるかどうかを試してみます。つまり、SからHxを出し、WからHxならHQをプレイしま す。WはもしHKを持っていても、ダミーにHAが見えてい るこの状況ではHKを出さないでしょう。運よくHKがWにあれば、この方法でHQが勝つことができます。これが典型的な「Kのフィネス」です。しかし、もし運悪くHKがEにあれば、HQはHKに捕まり、負けてしまいます。フィネスとは、その50%の運に賭けるプレイなので す。

  オープニングリードがHですから、Hのフィネスをするチャンスは今しかありま せん。HQがHKに捕まるのが怖いからといって、HAをプレイしてみても、Eからシングルト ンのHKが落ちてくることなどほとんどありえま せん。そうなれば、いずれは確実に昇格したHK(もしWにあったとしても!)に 負けることになります。問題を先延ばしにすると、後からはもう取り返しがつかないのです。ですから、勇気を出して、今、この第1トリックで成功率50%の フィネスをトライしましょう。勇気を出さなければ成功率は0%なのですから。

  もし、Hのフィネスに失敗しても、あとでもう一度Cフィネスでチャンスがあります。

  このスモールスラムは、HCのフィネスを両方敢行すれば、どちらか一 方でも成功する場合、つまり約75%の高確率でメイクすることができます。

↑シミュレーターが起動します。
何度も「新規プレイ」を押していろいろなオポーネントの手でプレイしてみよう!「ダブルダミー」ボタンでオポーネントの手が見えるようになるよ。

2.Aのフィネス

 N
S K10x
H Kxx
D AKxx
C xxx

  S
S AQJxx
H xx
D QJxx
C Kx 

S by S 、オープニングリード:D

  さっきとほとんど同じですがAQがKxに変わっています。HCで4つのルーザーがあり、1つ減らさなく てはなりません。

  そこで、AがKの手前(表)にいることを 期待 して、Kに向けてリードします(Aのフィネス)。手前のAに勝たれても、Kが昇格するので、2回目にはKで勝つことができます。

  HKかCKのどちらか一方でも勝つことができれ ば、コントラクトはメイクします(約75%のチャンス)。

  単にAがKの手前(表)にいるだけでなく、2番手の相手がAを出さないでくれる(つまり、即座にKが勝つ)ことを狙うプレイを、特に 「Kのスチール(盗む)」と呼びます。

3.いろいろなフィネス

  N
H Axx

  S
H Qxx

  最初と同じAとQの組み合わせですが、今度は別々の手に分かれています。Sの手からHQをリードして勝つことを狙っても、EにHKをかぶせられ ればお終いです。(ディフェンダーは絵札には絵札をかぶせましょうね!)

  ダミーからxを引き、EにHKがあることを期待しましょう。HKが出たら、手からHxを出すことでHQが昇格します。

  N
H AQJ10
C xxx

  S
H xxxx
C AK
  QJ10があるので、Kに負ければ2トリック昇格する「プ ロモート」の形ですが、HKが表(W)にいればフィネスによって全 勝することができます。
  SからHxを出し、HKが出なければ、NからHQを出します。これが勝ったら、他のスー ト(この場合はCAKQ)でもう一度Sにリード権を渡し、H x→HJ、Hx→H10と、HKが現れるまでフィネスを繰り返します
  HKが現れたらHAで捕まえれば、残りのカードがすべて昇 格します。
  N
H AQxx

  S
H J10xx
  手からHxを出してダミーのHQをプレイすると、フィネスが成功して も、次にHAをとってHKが落ちてこない限り、1トリック負けて しまいます。

  もっとよい方法は、まず手からHJを出し、HKが出なければ、ダミーからHxを引いて流します。そうすると、フィネスが成功したときにも、リード権がSの手に残っており、続けてH10をリードできます。こうして何度もし つこくフィネスを繰り返 せば、全勝できます。
  N
H KQx
C

  S
H xx
C
  KQがあるので、Aに負ければ1トリック昇格するプロモートの形で すが、HAが表(W)にいれば、フィネスで2ト リックとれます。

  SからHxを出し、HAが出なければHKを出します。もし勝ったら、もう一度他 のスート(この 場合はCA)でSの手に入り、HQに向けてリードします。ここでWからHAが出ても、HQが昇格します。

  Wが1トリック 目にHAをプレイしてしまうと、即座にHKQの2トリックが昇格してしまうことに 注意してください。このようにダミーにKQが見えているときに は、ディフェンダーは1巡目にすぐAを上がらないほうが、たいてい得策です。
  N
H AJ10xx
C

  S
H 9xx
C
  このHスート、A以外はたいして勝てそうもない 弱いスートに見えますか?

  いえいえ、よくみると、KとQの2つしか負けることのない強いスートです。KかQのどちらか1枚でも表(W)にいれば、フィネスで4勝できます。

  最初にHx→HJとプレイし、負けたら、次の機会には、 SからH9をリードして流します。このフィネスを すれば、HKQが両方とも裏(E)にない限り、 つまり約75%の高確率で4勝できます。

ball0フィネスかエスタブリッシュ か?

    勇気を出してフィネスをしよう!とはいえ、他にもっと確実な方法があるなら話は別です。

  
S xx
H Kxx
D Jxx
C AQ10xx

  S
S Ax
H AQx
D KQ10xx
C J9x 

3NT by S 、オープニングリード:C

  クラブはフィネス兼プロモートの形、ダイヤモンドはエスタブリッシュの形です。どちらに手をつけますか??

  それを考える前に、まずはウィナーを数えましょう。S1、H3、D0、C1の計5個。こんなに強いDCスートがあるといっても、今 すぐ頭から取れるのはこれだけです。4個足りません。

  さて、オープニングリードはC。一番弱いスペードを打たれなくて、 よかった!さあ、ダミーから何を引きますか?Q?x?A?

  ここで、フィネスが抜けたらどうなるか?を考えてみましょう。

  C のフィネスをしてC Kに抜けた場合、最悪の想定は、Sスペードが返ってきてSAを追い出されることです。CKに負けたことで増えるトリック数は、3 つ。必要な4個に1つ足りません。8トリック勝ってDをだすと、オポーネントはDAをとり、次々とスペードを出す。後はも う1勝もできないでコントラクトはダウン・・・という悪夢が待っています。

  フィネスが効いてなかったからしょうがない、ですか??いえいえ、もう一度考えてみましょう。

  CAであがり、すぐにDAに負けに行けばどうでしょう?オポーネ ントはDAで勝っても、SAがまだこちらにあるのでSを走る(立て続けにたくさんとる)ことは できません。CKはとられるかもしれませんが、1トリッ クくらいとられたって平気です。Sを打たれたら、SAでとって、さてウィナーは何個になりま すか?DAに負けたことでDのウィナーはちょうど必要な数の4個増え るはずです。オポーネントにスペードをとられる前に、さっさと9個のウィナーを取ってコントラクトはメイクします!これはフィネスに頼らず100%確実 な方法なのですから、迷わずこちらのラインを選びましょう。

  つまり、第1トリックは、フィネスの誘惑に負けずに、ダミーからCAです。

  オープニングリードがSHだった場合についても、どのプレイライン がよいか考えてみてください。