初めてのビッド
 オープナーの2度目のビッド


自分が1の代でオープンしてパートナーがレスポンスしたあとの、2度目のビッドのしかたを解説します。

 パートナーのレスポンスからわかること
 
 1の代のスーツオープンに対するレスポンスの意味をまとめてみます。


<自分が1の代のスートでオープンしたときのレスポンスの意味>

レスポンダーの強さ
スートの枚数 パスしてよいか
パス 5点以下


1の代の新しい スート 6点以上
上限なし

4 枚以上
フィットを隠している可能 性あり
パスなし
(フォーシング)
1NT 6−9点
フィッ トがない
1の代でビッドできる4枚のスートがない
パスしてよい
2の代の新しい スート 10点以上
上限なし
4枚以上
フィットを隠している可能性あり
パスなし
(フォーシング)
シングルレイズ 6−9点 フィットした パスしてよい
ダブルレイズ 10−12点 *1
(リミットレイズ)
4枚以上のサポート パスしてよい
ダブルレイズ 13 −15点 *1
(フォーシングレイズ)
4枚以上のサポート パ スなし
(フォーシング)
ト リプルレイズ
6 −9点
5 枚以上のサポート
0枚または1枚のスートがある
パ スする
2NT 10−12点 *2 4H,4Sに興味がない
バランスハンド
パスしてよい
3NT 13−15点 *2 4H,4Sに興味がない
バランスハンド
普 通パス


 レスポンダーの強さの欄の「点」は、オープンを聞いて切り札の強さなどを再評価した結果、何HCP相当の強さかを表しています。


*1 メジャーのダブルレイズはリミットレイズ、マイナーのダブルレイズはフォーシングと 取り決めるのが基本的です。

*2 1980年代ごろまでは、レスポンダーの2NT,3NTへのジャンプをそれぞれ13−15HCP,16−18HCPとする取り決めが普通でし た。どちらを使うかは、あらかじめパートナーと確認しておく必要があります。




  レスポンダーのニュース−トはフォーシング

 1の代のスートでオープンすると、レスポンスはたいてい1の代の新しいスートか1NTです。マイナーの1Cや1Dオープンであれば、ほとんどの場合、 1Hや1Sが返ってくるでしょう。

 このとき、レスポンダーの新しいスートをオープナーはパスしてはいけないという重要な決まりがありま す。これは現代のビディングシステムの大原則です。

 オープンしたスートが4枚しかなくても、パートナースートがレイズできなく ても、どんなに弱くても、パートナーのニュースートパスしてはいけません。パートナーはものすごく強い可能性を残しているから です。フィットを隠していることもあります。


 オープナーは手を表現する

 ニュースートのレスポンスに対しては、オープナーは自分の 手を表現するビッド をします。
 レスポンダーがそれを聞いてコン トラクトを決定するので、自分の手の、形、強さ、長さをできる範囲で正確に伝えます。



形を表現 = バランスか、アンバランスか。

 (1) パートナーのスートが4枚以上あればレイズ(最優先)
 (2) バランスハンド ではNTをビッド
 (3) 他の4枚以上の スートをビッド
 (4) 自分のスートをリビッド(5、6枚以上)


強さを表現 = 弱(13−15)、中(16−18)、強(19以上)のどれなのか。

 (A) ミニマム(弱)の手では、シングルレイズか、1NT2 の代までのジャンプしない、かつオープンスートを越えないビッドをします。  
 (B) ミディアム(中=ゲームに誘える)の手では、ダブルレイズか、3の代までのジャンプしないスーツやNT、または3の代で自分のスートをリビッドします
 (C) マキシマム(強=ゲームが確実)の手では、ゲームレイズか、ジャンプしてスーツやNTをビッド、または4の代で自分のスートをリビッドします

※ ジャンプしない2NTリビッドの強さは、ミニマムとする現代的なスタイルと、 ミディアムとする古典的なスタイルの2流派があるので、注意が必 要です。あらかじめパートナーとの間で確認しておきましょう。

長さを表現 = 2の代は5枚、3の代は6枚、4の代は7枚で。

 (あ) オープンしたスートが5枚以上 なら2の代でもう1度 ビッド(4枚のスートはたとえAKQJでも2回ビッドしてはいけません)
 (い) オープンしたスートが6枚以上なら3の代でもう1度ビッド(ただし強さも必要)
 (う) オープンしたスートが7枚以上なら4の代でもう1度ビッド


これらの組み合わせで、ハンドを表現します。
 

S K4
H AJ64
D Q98
C K1085
1Cオープンに
1Dが返ってきたら1H(4枚のスート)、
1Hが返ってきたら2H(レイズ)、
1Sが返ってきたら1NT(バランスハンド)。
S AQJ98
H Q7
D KJ108
C
1Sオープンに
2Cが返ってきたら2D(4枚のスート)、
2Dが返ってきたら3D(レイズ)、
2Hが返ってきたら2S(5枚なのでもう1度)





 まとめ:レスポンダーのニュースートに対して 
 

<バランスハンド(丸い手)のとき>
HCP パートナーのスートが4枚ある(最優先) 1の代でビッドできる4枚のスートがある 1の代でビッドできるスートがない
13−15 シングルレイズ 4枚のスートをビッド ジャンプしないで
NTをビッド
16−18※ 1NTでオープンしているのでありえない
19−20 ゲームまでレイズ 4枚のスートをビッド ジャンプして
NTをビッド
21−22 2NTでオープンしているのでありえない

※ここを15−17としている場合もあります。
 
 
<アンバランスハンド(かたよった手)のとき>
強さ パートナーのスートが4枚(最優先) 4枚以上の他のスート オープンしたスートが5枚 オープンしたスートが6枚以上
ミニマム
12-15点
シングルレイズ オープンしたスートより低く言える場合だけビッド オープンしたスートを2の代でもう1度ビッド
ゲームに誘う
16-18点
ダブルレイズ ジャンプしないでビッド 新しいスートをビッド(ジャンプしない)
オープンしたスートを3の代でもう1度ビッド
ゲームは確実
19点以上
ゲームまでレイズ ジャンプしてビッド 新しいスートをジャンプしてビッド 新しいスートでジャンプ、
または
オープンしたスートを4の代でビッド

 




 1NTレスポンス

 次によくあるレスポンスが1NTです。この場合、パートナーの手は上限 が見えているのでパスしても構いません普通のバランスハンドでは迷わずパスし てください。

 ただし、1NTレスポンスは苦し紛れのつなぎビッドということもよくあり、バランスハンドとはまったく限りません。アンバランスハンドでは、ニュースートの場合 と同様に自分の手を表現します。フィットがないとわかっているの で、慎重にビッドす るようにしましょう。

S AJ64
H K4
D Q98
C K108
ミニマムオープン。
1Dオープンに1NTが返ってきたら
パスします。
S AQJ984
H 74
D KJ1085
C
SかDを切り札にしたい手です。
1Sオープンに1NTが返ってきたら
2Dとビッドします。


 まとめ:1NTレスポンス に対して
HCP

強さ
バランス
ハンド
アンバランスハンド
4枚以上の他のスート オー プンしたスートが5枚 オープンしたスートが6枚以上
12−15


パス オープンしたスートより低 く言える場合はビッド
パスもOK
オープンしたスートを2の代でもう1度ビッド
パスもOK
オープンしたスートを2の 代でもう1度ビッド
16−18※

1NTオープンなのでありえない ジャンプしない新しいスー ツ 新しいスートをビッド (ジャンプしない) オープンしたスートを3の 代でもう1度ビッド
19−20


2NT ジャンプして新しいスーツ
新しいスートをジャンプし てビッド 新しいスートで ジャンプ、または
オープンしたスートを4の代でビッド(7枚)

※ここを15−17としている場合もあります。

 レスポンスの後にオーバー コールが入ったとき

 パートナーがレスポンスしたあとオーバーコールが入ったときはどのようにビッドすればいいのでしょうか。

 このとき、自分がパスをしてもパートナーまでビッドの順番が回る、「フリービッド」ですから、無 理して普通の手 で ビッドする必要はありません (たとえ、レスポンダーがニュースートをビッドしていた場合でも)。 

 あなたがパスしても、パートナーはいちどあなたのオープンを聞いているので、次の番で何か判断してくれるはずです。

 強い手(15点以上)や、特に紹介したい新しいスート(5枚以上)があるときは、 ビッドしましょう。

 また、パートナーのスートを4枚以上持っているときは弱くても積極的にレイズし ます。



 オープナーがコントラクトを判断するケース

 パートナーが代を上げるレ イズをした場合、レ スポンダーは手の強さ、形などをほぼ示し終わっているので、このあとのコントラクトの決定はオープナーの仕事になり ます。 また、あまり起こりませんが、2NTや3NTのレスポンスの場合も同様です。

 ・ メジャーオープンをレイズされたら、切り札はそのスートに決定します。

 ・ マイナーのレイズなら、3NTを狙います。

 ・ 2NTや3NTレスポンスは、4Hや4Sに興味のないノートランプ向きの手を示します。普通3NT、6NTを狙います。

 このように、これらのケースでは切り札はほぼ決定するので、問題は強さだけで す。
 ハンドを再評価して、パートナーの強さと合わせて26点あるかどうかを確認し ます。ゲームがなさそう(またはスラムがなさそう)と判断したら、パスしても構いません。

 ・ 合 計26点ないとわかったら、パス。

 ・ 合計26点が確認できたら、3NT,4H,4Sのゲームをビッド。

 ・ 26点の可能性があるときはビッドを続けてゲームに誘う。
   (シングルレイズの場合のみ)


 レスポンダーのレイズに対 して

・ シングルレイズ

 パートナーは、あなたが非常に強い場合に備えてビッドをつないだのです。普通の手はパスします。

 17点以上あれば、合計26点の可能性があるので、3の代にレイズ、または サイドスートをビッドしてゲームに誘います。パートナーは6−9点の中で強いほうならゲームをビッドしてくれるでしょう。マイナーなら 2NTで3NTに誘うのもよいでしょう。

 19〜20点以上あれば、自分でゲームをビッドします。
 

S AJ64
H K4
D Q98
C K1085
ミニマムオープンです。
1Cオープンに2Cとレイズが返ってきたら
パスします。
S AQJ984
H 74
D KJ1085
C
レイズを聞いてぐっと強くなりました。
1Sオープンに2Sとレイズが返ってきたら
3Dとビッドします。


・ リミットレイズ

 2つ代を上げるダブルレイズをよい10点から12点を示すことに取り決めている場合で、メジャーオープンに対して使うのが普通です。
 リミットレイズでは、レスポンダーが11点の手を持っていると想定し ます。ミニマムバランスハンドでは パス、15点以上あれば、合計で26点みえるので、ゲームをビッドし ます
 
 アンバランスハンドでは、サイドに0枚や1枚の短いスートがあったり、オープンした スートが6枚以上あるよい手なら、ゲームをビッドできます。

S AJ64
H K4
D Q98
C K1085
ミニマムオープンです。
1Cオープンに3Cとレイズが返ってきたら
パスします。
S AQJ984
H 74
D KJ1085
C
レイズされたことでぐっと強くなりました。
1Sオープンに3Sとレイズが返ってきたら
4Sとビッドします。


・ フォーシングレイズ

 マイナーのオープンのダブルレイズなど、ゲームフォーシング(13-15点)に取り決めてあるレイズはパスしてはいけません
 スラムに興味がなければ、4H,4Sまたは3NTをビッドします。

※ 古典的にはダブルレイズはメジャー、マイナーともフォーシングレイズでした。現在では、メジャーオープンにはリミットレイズが一般的ですが、マ イナーのレイズにはさまざまな方法が使われていますので、あらかじめパートナーと確認しておいた方がよいでしょう。

・ トリプルレイズ  

 主にメジャーオープンの場合に、オポーネントの妨害をかねて行なうビッドです。5枚以上のサポートのある、弱いプレイ向きの手で、スラムには興味 がないことを示しています。強い手 でもパスします


 まとめ:レイズに対して
 
強さ(点) シングルレイズ
(6−9点)
リミットレイズ
(10−12点)
フォーシングレイズ
(13−15点)
トリプルレイズ
(6−9点)
ミニマム(12−15) パス パス
または
ゲームビッド
ゲームビッド
または
ストッパー紹介
パス
中くらい(16−18点 パス
または
ゲームに誘う
ゲームビッド
ゲームビッド
(5の代も可)
パス
非常に強い(19点以上) ゲームビッド スラムトライ
(新しいスート)
スラムトライ
(新しいスート)
パス






 2NTと3NT

・ 2NTレスポンス

 このレスポンスがくることはめったにありませんが、パートナーはメジャーに興味がなく、3NTのゲームに誘っています。リミットレイズと同様、パートナーに11点を想定し、15点あれば3NTを ビッドします。 

※ただし、1980年代ごろまでは、レスポンダーの2NT,3NTへのジャンプをそれぞれ一段階強い13−15HCP,16−18HCPとする取り 決めが普通でし た。どちらを使うかは、あらかじめパートナーと確認しておく必要があります。

・ 3NTレスポンス

 これもめったにないレスポンスです。13−15HCPの3NT向きのバランスハンドで、メジャーのゲームにも、マイナーのスラムにも興味がないと 言っています。普通はパスです

 非常に偏ったハンドで切り札のあるコントラクトの方がよいと思うとき、またはスラムトライをする場合だけ、ビッドを続けます。 


 
  例題 

次の手であなたがオープンしました。パートナーのレスポンスに対して、なんとリビッドしますか?
 
 

Q1
S
H QJ1094
D K87
C AJ63

1H(あなた)−パス−2H(パートナー)−パス;?

A パス(シングルレイズに対してミニマムの手ではパスです)

Q2
S
H QJ1094
D K87
C AJ63

1H(あなた)−パス−2C(パートナー)−パス;?
A 3C(4枚あればレイズします。レスポンダーのニュースートなのでパスしてはいけません)

Q3
S
H QJ1094
D K87
C AJ63

1H(あなた)−パス−1S(パートナー)−パス;?

A 2C(アンバランスハンドでは2番目のスートをビッドします。レスポンダーのニュー スートなのでパスしてはいけません。)

Q4
S
H QJ1094
D K87
C AJ63

1H(あなた)−パス−1NT(パートナー)−パス;?

A 2C(アンバランスハンドでは2番目のスートをビッドします。パートナーはメジャー スートの短い弱い手です。)

Q5
S J4
H AQ94
D KQ8
C J1063

1C(あなた)−パス−1D(パートナー)−パス;?

A 1H(4枚のスートを1の代でビッドできます。レスポンダーのニュースートなのでパ スしてはいけません)

Q6
S J4
H AQ94
D KQ8
C J1063

1C(あなた)−パス−1H(パートナー)−パス;?

A 2H(ミニマムはシングルレイズ。レスポンダーのニュースートなのでパスしてはいけ ません。)


Q7
S J4
H AQ94
D KQ8
C J1063

1C(あなた)−パス−1S(パートナー)−パス;?

A 1NT(これでミニマムバランスハンドと伝わります。バランスハンドでは2の代の新 しいスートをビッドしません。レスポンダーのニュースートなのでパスしてはいけません)
 

Q8
S J4
H AQ94
D KQ8
C J1063

1C(あなた)−パス−1NT(パートナー)−パス;?

A パス(ミニマムバランスハンドでは1NTレスポンスに対してパスです。)

Q9
S
H AJ63
D K8
C QJ1094

1C(あなた)−パス−1S(パートナー)−パス;?

A 1NTまたは2C(2Hは2Cを越えるため、この強さではビッドできません。レスポ ンダーのニュースートなのでパスしてはいけません)

 


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