ビリーさん、こんにちは。

   私は今、パートナー（妻）との間でこのボードでの責任の所在について意見がかみ合いません。それほど高いフィールドではなかったんですが、この簡単に作れる６ をビッドしていなかったペアはわずかでした。

ディーラー：Ｓ 双方ノンバル	Ａ６４ ＡＫＪ５ ２ Ｑ９８３２
ＫＱ９８２ ６ ８７５ ＫＪ５４	＋ＮＮ＋ Ｗ   Ｅ Ｗ   Ｅ ＋ＳＳ＋	Ｊ７５３ ９８７ Ｑ９３ 10７６
	10 Ｑ10４３２ ＡＫＪ10６４ Ａ

１     ２      Pass   ４

   パートナーは、この手は先にダイヤモンドをビッドして次にリバースできるほどは強くないと言っています（私は違うと思うが）。スペードのオーバーコールが入り、私は４ とスプリンターすることも考えましたが、結局キュービッドを選びました。ここでのキュービッドはハートにサポートがあるリミットレイズ以上の手ととりきめています。パートナーの４ へのジャンプは、私がリミットレイズの手だったとしてもゲームに行ける強さはあるがスラムの可能性に興味はない、という意味に私はとりました。

   彼女は、この４ はハンドの余裕を示すものだからここであなたがビッドの主導権を取ればよかったのよ、と言います。しかし、このとき彼女が３ または３ とキュービッドした方がもっと建設的で情報量の多いビッドだったと思うのです。

   このオークションでは２人のうちどちらがどのくらい悪かったか査定してください。また、このオープンとオーバーコールの後、どのようにビッドしていくのがよかったのでしょうか。

ご夫婦ペアのあなたへ、

   ご夫婦でブリッジを楽しんでおられると聞くのはうれしいことです。よいペアになるための第１のステップは、きっと、お互いに感情を押さえて静かに議論できることでしょう。あなたのところは上出来です。
 

   ハンドの問題について。自分の手を表現するビッドを心掛けてください。このボードでは、２人ともそのことができなかった罪で有罪です。もっとよく手を表現できるビッドがほかにあるのにそれをビッドしていない。

   カナッペ（短いほうのスートを先にビッドするスタイル）を使っているのでなければ、なぜ１ でオープンするのでしょう。ダイヤモンドはすばらしい６枚、対するハートは内容の悪い５枚。僕は１ で開けます。

   あなたの手も、１ オープンに対する典型的なスプリンターハンドではありませんか？ブリッジでスプリンターほど正確にハンドを表現できるビッドはありません。２ のキュービッドはスプリンターのハンドを否定します。もっと丸い手を表現することが多く、トランプは３枚かもしれません。４枚かもしれませんが、スプリンターの手ではないのです。

   あなたの２ キュービッドに対し、Southは４ とサインオフするにはあまりにもハンドがよすぎるという考えには賛成します。Southはスラムの可能性を考えるべきでした。２ のあとナチュラルな３ をビッドすればあなたももっとビッドに協力できたし、あるいはスラムに到達できたかもしれません。

   Southの手の価値はパートナーがハートサポートのあるよい手だとわかった時点で急上昇しますが、もしパートナーがスプリンターのハンドを持っていると知ったなら天井を突き抜けてしまったことでしょう。

   Southが１ でオープンしたとしたら、Westの１ オーバーコールに対しNorthはネガティブダブルをかけ、その後の展開は全く違うものになりますね。

   ２人ともが、誤解を招きがちな、明らかに悪い方のビッドを選んでいたのでは、正しいコントラクトに到達するのは不可能に近い。持っている通りにビッドすることです。必ずうまくいきます。

(ACBLBulletin1998年１２月号よりJCBLブリテン2000年１・２月号掲載)

 

この４ＮＴは…（中級）

ビリーさん、こんにちは。

このビッドについてパートナーと意見が合いませんでした。私はNorthです。

　North　　　　　South
　１ 　　　　　　３ＮＴ（13-15）
　４ＮＴ　　　　　５

私の４ＮＴは６ＮＴへのインビテーションのつもりでした。ところが後でパートナーから聞くと、この４ＮＴはエースアスキング（ブラックウッド）で、６ＮＴへのインビテーションには５ＮＴをビッドすると言うのです。それに１ＮＴオープンに対する４ＮＴレスポンスもブラックウッドで、今の人たちはスラムインビテーションには４ＮＴではなく５ＮＴをビッドするとのこと。でも、私が覚えているルールはこうでした。

１ＮＴオープンに対するレスポンス：15-16のバランスハンド…４ＮＴ（６ＮＴへのインビテーション）、17-18…６ＮＴ、19-20のバランスハンド…５ＮＴ（７ＮＴへのインビテーション、６ＮＴまではフォーシング）

最近この取り決めが変更されたのでしょうか？
 

学識あるあなたへ、

答えは簡単、パートナーさんの方が間違いです。ここに挙げられているオークションの５ＮＴはどれも100%フォーシングでしょう。たいていのエキスパートが５ＮＴのビッドはすべて必ずフォーシングということにしていますよ（確かに２，３の例外はありますが、原則はフォーシングのはずです）。

すべてのナチュラルな１ＮＴや２ＮＴ、３ＮＴビッドの後の４ＮＴは、事実上必ずクオンティテイティブ（訳注：強さを示す）であってブラックウッドにはなりません。パートナーさんはあなたをエキスパートの１人として認めることになりそうですね。僕はあなたの書かれている取り決め内容に全く同感。最近これが変更された話も知りません。

(ACBLBulletin1999年１0月号よりJCBLブリテン2000年９・１０月号掲載)

 

ビリーさん、こんにちは。

   最近の試合でのことです。私とパートナーはＥ−Ｗで、こんなことがありました。

ディーラー：South 双方ノンバル	ＡＪ３ ８ ＱＪ10８５３ 10５３
９８７ ３２ ＡＫ ＫＱＪ８６２	＋ＮＮ＋ Ｗ   Ｅ Ｗ   Ｅ ＋ＳＳ＋	ＫＱ ＡＫＱ10７５ ４２ Ａ９７
	10６５４２ Ｊ９６４ ９７６ ４

１   １   １     Pass

２    Pass ４    AllPass

   私たちは５ メイクしましたが、確実な６ を逃してしまいました。なかには６ＮＴをビッドしているペアさえあったのに。

   それで、この手でスラムに行くにはどうビッドすればよいのか、パートナーと検討したんです。私の４ のビッドは「結論が早すぎた」とは思うのですが、ダイヤモンドがダブルトンなのとパートナーが２ としかリビッドしていないのが気になって……。
 

   まず確実にわかることが１つ。パートナーは２ とリビッドしたことからスペードを４枚持っていません。だからあなたのリビッドは２ がよかった。これは間をとるビッドでフォーシング（訳注：パスしないことを要求するビッド）です。

   パートナーは２ＮＴとリビッドするでしょうが、それに対して３ とビッドしてフォーシングを続けつつフィットを教えられます。そうすればきっとパートナーは３ とキュービッド（訳注：コントロール−この場合は Ａ−を示すビッド）してくれますから、これでダイヤモンドでの心配がなくなり、あなたからブラックウッド（訳注：Ａの枚数を尋ねるコンベンション）を使うことができますね。パートナーが２度ともハートをサポートしなかったのですから、切り札はハートよりクラブに決めた方がよさそうです。

   ６ が一番安全そうなコントラクト。６ はハートの分かれ方が４−１の時は落ちますが、まだ妥当な範囲でしょう。

   ６ＮＴはパートナーの手に Ｋなど特定のキーカードがあることがわかったのでなければちょっと博打です。
パートナーのしたビッドばかり気になって、自分の手をきちんとビッドすることを忘れているプレイヤーが多いのです。今の場合、焦ってビッドした４ はハンドに誠意を尽くしていませんでしたね。

(ACBLBulletin1998年１月号よりJCBLブリテン1999年１・２月号掲載)

 

ビリーさん、こんにちは。

   私は先日ローカルのペア戦でこんな手を持っていました。

Ｋ８７５  ＫＱ８６  ３２  Ａ８７

   パートナーが１ (スタンダードアメリカンシステム）でオープンしたので、私は３ （フォーシングレイズ）とレスポンスしました。

   パートナーは３ で、私は４ 。次にパートナーが５ とビッドしたので私はパスしました。だって私にはダイヤモンドに２つのルーザーが見えていて、パートナーの５ は私がアンビッドスーツのダイヤモンドに１ｓｔか２ｎｄのコントロールを持っているかどうかを聞きたいのだろうと思ったからです。

   このボード、私たちは６Ｈにいけなかったせいで０点でした。パートナーは ＡＫを持っていて、このビッドはトランプのトップアナー３枚のうち２枚を持っていたらスラムをビッドして欲しいという意味だった、と言っていました。

   他の人にも意見を聞いてみましたが答えはいろいろです。ビリーさんの考えを教えて下さい。
 

活動家のあなたへ、

   すばらしい質問です！そして、僕はあなたと全く同意見です。

   トランプスートが決まってキュービッドが一巡行われてから５の代にジャンプするのは、アンビッドスーツに２ｎｄラウンドコントロール（かそれ以上）を持っていたらスラムをビッドして欲しいという意味になるはずです。

   もしパートナーの心配がトランプの内容だけなら、キーカード・ブラックウッドを使うか（もし使うことにしていればですが）、または全部のサイドスーツのコントロールが確かめられるまで、すなわちわからないのはトランプスートの内容だけという状態になるまで、キュービッドを続ければいいのですからね。

   もう一つの方法は、全くキュービッドを始めないで５ にジャンプすることです。「キュービッドをする必要はないんだ、サイドのコントロールは全部持っているから。トランプに助けが必要なんだ。」という意味になるでしょう。

   実際のオークションでは、あなたのパートナーは４ （これですべてのサイドスーツのコントロールが確認される）とキュービッドすることができました。その後５ とビッドすればトランプに助けが必要という意味が伝わったでしょう。

   エキスパートは高度なビッドの意味を判断する時、こんな平凡な論理を使っています。もしある質問（例えば「トランプの内容がよいですか？」）をするために絶対安全な他の方法があるのに、それが使われていないとしたら、そのビッドはそういう意味ではないということです。

(ACBLBulletin1997年４月号よりJCBLブリテン1998年７・８月号掲載)

 

ボイドかシングルトンか（中級）

ビリーさん、こんにちは。

私と妻は中級程度のプレイヤーなのですが、このハンドで６ に到達することができず５ でとまってしまいました。システムは２オーバー１、ジャコビー２ＮＴとキーカードブラックウッドを使用しています。

West  − Ｑ10９８２ ＡＫＪ７５ Ｑ９８

East Ｋ４ ＡＫＪ５４ Ｑ ＫＪ６５２

   １              ２ＮＴ(1)

   ３ (2)         ４ＮＴ

   ５              ５

   (1)ジャコビー２ＮＴ
   (2)スペードが短い（１枚または０枚）

私はEastです。もう少しうまいビッドができなかったものかと考えているのですが。

未確認さんへ、

　　これは、ブラックウッドに対してスラムに有効なボイドを示すことができれば解決する問題ですね。次のような方法を使ってみてはどうでしょう。覚えやすいはずです。

　　４ＮＴに対して普通のレスポンスをしないで、５ＮＴから先のステップをビッドするのです。５ＮＴは０枚または３枚のキーカードと有効なボイドがある、６ は１枚または４枚のキーカードと有効なボイドがある、６ はキーカード２枚のトランプクイーンなし＋有効なボイド、等々。この方法を使えば、Westは６ とレスポンスして１枚のキーカードと有効なボイドがあることを示すことができたはずです。

　　１つ注意すべきことは、どのスートにボイドがあるのかをパートナーが知らない場合には絶対にこのレスポンスをしないことです。そんなボイドを教えたところで何の得があるでしょう！)スプリンタービッドの後や、シングルトンを示すレスポンスをした後で使うなら問題ありません。それと、パートナーのロングスートにあるボイドは決して示さないことです。

　　このレスポンスはごくたまにしか使わないほうがいいでしょう。ちょっとでも迷ったらボイドを示すのはやめて、普通にキーカードの枚数だけを答えた方がいい。本当に使うべきとき（この手のような場合ですね）にだけ使えば、すばらしい道具になりますよ。

(ACBLBulletin2000年１月号よりJCBLブリテン2000年１１・１２月号掲載)

 

ビリーさん、こんにちは。

   妻と私がもう一組のご夫婦と一緒にブリッジをしていた時のことです。このようなハンドがきました。その時私のパートナーはIsaで、彼がオープンしました。

Isa −−− ＡＪ９４ ＡＫＪ10９６４ Ｑ４

私 Ｋ３ ＫＱ８７ Ｑ８７ ＡＫ８７

   私は２ＮＴとレスポンスし、Isaは３ とビッドしました。私は間違いながら、６ＮＴに飛んでしまいましたが、もしIsaが本当にそのオープンに足るだけの点数があるとしたらジャック１つも抜けていないはずなので、セブンをビッドしてくれるだろうと期待していたのです。

   彼はパスし、 Ａのリードで６メイクしました。もちろん７ はコールド（訳注：確実なこと）です。
全員が２ オープンのことでIsaに詰めよりました。でも彼は長いダイヤモンドとスペードのボイドに点を加算して、それを正当化しようとしたのです。そこで私はポインツ・シュモインツ（訳注："Points Schmoints"MartyBergen著）に言及し、このハンドはポテンシャルルーザーが６つもあること、ボイドとロングスートの点を同時に加えてはいけないことを指摘しました。

   普通に１ でオープンしていればその後のシークエンスで７ に到達できたでしょう。コメントをお願いします。
 

非難好きなあなたへ、

   残念ながら、あなたはブリッジ界で最も古くからある症状にとりつかれています。それは、「悪いのはパートナー」症候群。パートナーが１ でなく２ でオープンしたためにコールドなグランドスラムに到達できなかったという主張は非論理的。２ オープンというのはものすごく強い手を約束するものです。それが逆に７ への妨げになった―あなたが17ＨＣＰも持っていて？不可能です。

   ７ も可能なコントラクトですが、ダイヤモンドのビッグフィットが見付かった後では到達は難しいでしょうね。

   このオークションのなかで最悪のビッドはあなたの６ＮＴ……最終的かつ全くのシャットアウトビッドです。どう考えてもインビテーションの形式にはなりません。あなたのおっしゃる、オープンが正当ならパートナーが７ＮＴをビッドすべきなんていう理屈は、奇怪きわまりない。

   例えばこんなオークションが考えられます。
　　
   Isa                 あなた
　　２                 ２ＮＴ
　　３                 ４
　　４ (1)             ５ (1)
　　５ (1)             ５ＮＴ(2)
　　７
　　
　　(1)キュービッド（訳注：ビッドしたスートのコントロールを示す）
　　(2)グランドスラムフォース（訳注：トランプスートの内容に応じて６か７を選んでもらう）

   たしかに２ オープンはオーバービッドで、Isaさんの手は１ とオープンするのが適当だということは認めます。しかしそのせいで７ に行けなかったという言い訳はどう考えても通りません。100％責任はあなたにあります。

   ベストプレイヤーは、まず自分自身のうちを見直し、「我々のオークション（またはディフェンス、自分のディクレアラープレイ）をもっとよくするためには自分に何ができただろう？」と考えるもの。「ねぼけてんじゃないの？パートナー。」というような言葉を聞くのが、このブリッジ社会で一番いやなことです。

(ACBLBulletin1998年１０月号よりJCBLブリテン1999年１１・１２月号掲載)

 

プレイを考えながらビッド（中級）

ビリーさん、こんにちは。

   先日、私たちのクラブの試合でこのような手が配られました。でもどうビッドすればよかったのかわかりません。

ディーラ：Ｓ
バル：Ｎ−Ｓ
　　　　　　 Ｋ
　　　　　　 ９
　　　　　　 ＡＫＱ10９８６
　　　　　　 ＡＫＱ７

　　　　　　 ＡＱ10８７５４２
　　　　　　 ８６３
　　　　　　 ３
　　　　　　 ５

　Ｗ　　　　Ｎ　　　　Ｅ　　　　Ｓ
　　　　　　　　　　　　　　　　３
　Pass　　　５ 　　　AllPass

   オープニングリードはクラブのローで、結果は６メイクでした。

ちょっと臆病なあなたへ

   パートナーさんのバルでの３ オープンはまったく教科書通り、非常によいスートで他にはほとんど何もない手、ですね。

   Ｎのあなたが考えることは２つ。まず６ はメイクするかどうか。ハートリードでハートが続けられると想定、*Kでラフさせられた場合でも大丈夫か？パートナーのスペードが素晴らしくよいスートならＯＫ。しかし、ＡＱＪ（10）以上でなければちょっと無理そう。

   もう１つは、６ をメイクするには何が必要か。 Ｊが落ちること？パートナーが Ｊを持っているかも。たとえパートナーがダイヤモンドボイドでも６ はメイクする可能性がある。

   ということを考えれば、６ の方がよいスラムに思えます。そこで僕なら、４ＮＴをビッド、返事を聞いて６ でしょう。それに賭けるのがベストのようですから。

(ACBLBulletin2001年５月号よりJCBLブリテン2002年１・２月号掲載)