教えて！ビリー  スラム ビディング　-初級-

 　コントラクトブリッジで、大きいボーナス点がもらえるコントラクトには、ゲームとスラム（スモールスラムとグランドスラム）の２種類があります。試合などで何度もハンドを配って繰り返しプレイすると、自分達か相手側のどちらかに３ＮＴや４Ｈ、４Ｓなどのゲームコントラクトがあるのは約２回に１回くらいです。が、６の代のスラムとなると１０回に１回くらい、７の代となると３０回に１回あるかどうか、という感じがします。
　　確実にスラムをビッドしてボーナスをＧＥＴするにはパートナーの間で整備された取り決めがないと難しいものですが、初心者のうちはスラムのことはは気にせず、ゲームを確実にビッドするのをめざすことをおすすめします。

ブラックウッドを使うとき（初級）

ビリーさん、こんにちは。

   コロラド州FortCollinsクラブのスイスチーム戦で、私たちはこのような手を持っていて、

North（パートナー） Ａ ＫＱ３２ ＫＱ８６４ Ｋ４３

South（私） ９８５３ Ａ８７ ＡＪ９７５ 10

Pass   １    １    ３

３    ５     AllPass

   ダイヤモンドのスラムは確実にできます。裏のテーブルでは、オポーネントは３ のあと６ にジャンプしていました。それで13ＩＭＰ取られて、私たちは一位の席から落とされたんです。
 

簡潔なあなたへ、

   Southが３ とリミットレイズ（訳注：３ まではできる手を示すレイズ）した後、Northは一撃でスラムを狙える方法があったのにそうしなかった。ブラックウッド（訳注：Ａの枚数を聞く意味の４ＮＴ）を使えばよかったんです。もしパートナーにエースがないか１枚だと分かれば、５ と言ってやめにすればいい。パートナーがエースを２枚持っていたらスラムがいけそうだと思いませんか？僕はそう思いますよ。

   ブラックウッドはよく多用、誤用されがちですが、こういう時にこそ使うべきなんですよね。時として、最も十分なアドバイスが最も簡潔だったりします。

(ACBLBulletin1997年１０月号よりJCBLブリテン1998年１１・１２月号掲載)

 

６枚サポート（初級）

ビリーさん、こんにちは。

   最近のマッチポイントの試合でのこと。双方バルで私の手はこうです。

ＡＱ10８６４ −  ＡＪ８６３  ３２

   パートナーがディーラーで１ とオープン。右手のオポーネントが２ とオーバーコールしました。
   私はかなりの時間頭を絞って考えた末、最終的に６ とビッドしメイクすることができました。オポーネントはこのビッドに不満そうな様子だったのですが、私は、６ 、もしかしたら７ があるかも知れないけれど、それに必要なカードをパートナーが持っているかどうかきちんと確認するのはとても難しいので、と説明しました。

   ２ のビッドを聞いたことから、おそらく６ がベストコントラクトだろうと決めうちしたのですが、もっと正確なアプローチができたのでしょうか？

ハネトカさんへ、

   確かにこのビッドはヤマカンもの。でも６ は何とかなりそうだと感じる気持ちもわかります。

   次のような、パートナーも巻き込んだもっと正確なアプローチはどうでしょう。まず４ のスプリンタービッドから入り、パートナーが４ とサインオフしてきたら、続いて５ とキュービッドするのです。
   これだとクラブが弱いけれどもスラムに興味があるということを示し、 ＡＫ抜けの悪いスラムに突っ込むことなく、逆に ＡＫがある時はすばらしいグランドスラムに到達することも可能でしょう。

   派手にジャンプするビッドは楽しい反面、パートナーを身動き取れなくしてしまう。「ブリッジはパートナーシップのゲームである」という格言を思い出してください。この言葉はここでも効いています。

(ACBLBulletin2000年７月号よりJCBLブリテン2001年３・４月号掲載)

 

その他の道具（初級）

ビリーさん、こんにちは。

   レスポンダーのジャンプシフトはストロングという取り決めで、オポーネントの介入は全くないとして、次のハンドはどのようにビッドすれば６ （できれば７ ）に到達できるでしょうか。

オープナー ＫＪ７４ ３ Ａ８４３ ＡＫＱ４

レスポンダー　 　 Ａ10９８５３ 　 Ａ７５２ 　 Ｑ７ 　 ５

   ブリッジの中でもビッドの分野は過去最も発展し現在も進歩を続けている分野です。コンベンションを覚えれば役に立ちます。しかし人間の判断力に置き換わるものではありません。あくまでもそれを高めるための道具だということを忘れずに。

   このハンドは、２つのコンベンショナルなビッドを使えば簡単に高確率のグランドスラムを見つけることができます。僕の提案するオークションはこうです。

オープナー １ ４ (1) ５ (3) ６ (5)

レスポンダー １ ４ＮＴ(2)  ５ＮＴ(4)  ７

   ４ＮＴ(2)はスペードを切り札にしてのローマンキーカードブラックウッド。それに対する５ (3)は０枚または３枚のキーカード（４枚のＡと切り札のＫ）を持っていることを示します。

   ５ＮＴ(4)は、２人ですべてのキーカードに加えて切り札のクイーンまたは余分なトランプの長さを持っていることが確認されたことを示すビッド。 ５ＮＴは同時にパートナーにキングを下からキュービッドするよう要求します。ただしパートナーはもしトリック源となるサイドスートを持っていればすぐにセブンに飛んでも構いません。

   ６ (5)は Ｋを示します。ほーら！ここでレスポンダーからハンドのダイヤモンドルーザーを Ｋの下に処理できることがわかり、自信を持ってグランドスラムをビッドできます。

   ほとんどのペアの場合、スプリンターとローマンキーカードブラックウッドなしではこのグランドスラムに到達するのはちょっと難しいと思います。この２つのコンベンションについて一度お調べになってみてください。

(ACBLBulletin1999年８月号よりJCBLブリテン2000年７・８月号掲載)

 

２Cオープン（初級）

ビリーさん、こんにちは。

   最近の試合でこんな手がありました。

ＡＫＱＪ５  Ａ  ＡＫＪ10９５  Ｋ

   私がストロング２ でオープンするとパートナーは２ とウェイティング（訳注：パートナーにハンドを示させるための一時的なビッド）。そこで私は３ とビッドしました。スペードはその次でビッドする予定でした。
ところが結局スペードのスラムを逃してしまいました。というか、ダイヤモンドのスラムにもノートランプのスラムにも行けませんでした。どちらのスートを先にビッドするのがよかったのでしょうか。

   パートナーはエース１枚きりで他に何も絵札を持っていなかったので、私の３ をパスしたのです。私は彼女に、少なくともゲームに到達するまではビッドを続けてくれないと困る、と言いました。でも彼女は、私がスペードを先にビッドすればよかったんだと言います。ちなみに彼女はライフマスターです。

   ライフマスターにもなれば２ オープナーのニュースートをパスしてはいけないことぐらいわかっているはずなのですが…。典型的な２ オープンでは、オープナーは22点以上のＨＣＰを持っているのが普通なのですから、もしレスポンダーにほんのキング１枚でもあればゲームに行くつもりでなければなりません。それがエースなんていう強力なカードを持っていたら、隠れた金鉱を掘り当てるかも、くらいの目で見るべきなのです。

   あなたの３ リビッドは100％フォーシングです。事実、２ オープンの後は３の代のメジャーか４の代のマイナーまではフォーシングとして扱うべきなのです。この基準は上級者の間だけでなくどこの世界でも常識です。

   あなたのパートナーはひどいですね。ライフマスターともあろう方がこの３ をパスしたとは！しかもエースを持っていて！ショックです。

   さらに、あなたが１番長いスートを先にビッドしたのは全くもって正しいことです。よいビッドとはそうあるべきなのです。最後に、人の意見に疑問を持ってみることも大切です。この場合がよい例でした。肩書きだけで人を信じてはいけないということがわかりましたね。

(ACBLBulletin2000年１０月号よりJCBLブリテン2001年５・６月号掲載)

 

どうずればグランドスラムに？（初級）

ビリーさん、こんにちは。

   私とパートナーはスラムがうまくビッドできません。キュービッドのしかたがよくわからないせいだと思うんです。

　　パートナー　　　　　私
　　 ＡＫＪ10２　　　 Ｑ３
　　 Ｑ６４　　　　　 ＡＫ５２
　　 ―　　　　　　　 Ａ８７４３
　　 ＡＫＪ５４　　　 Ｑ10

   オークションはこうなりました。

　　パートナー　　　　　私
　　２ 　　　　　　　　３
　　３ 　　　　　　　　４
　　６ 　　　　　　　　Pass

   ２ オープンがちょっと弱すぎたんじゃないでしょうか。あと、パートナーがクラブを言ってくれて、もう少しゆっくりビッドできればよかったかなと思います。結果的にはスペードもハートもクラブも３−３に分かれていたので、３スートで７メイクできるようになっていました！

   ハートよりはスペード切り札か７ＮＴがよかったと思います。そうそう、私たちはブラックウッドを使っていて、コンベンションといえばそのくらいです。
   私たちのシステムでもグランドスラムにいける方法はあったんでしょうか。または、安全なコントラクトは何だったんでしょうか。
 

   まずこの２ オープンについてですが、これはほとんど２１ＨＣＰ以上を示すという取り決めにしていますか？僕はそうしています。もし僕なら、パートナーが２ でオープンして自分が１５ＨＣＰのバランスハンドを持っていたら絶対セブンに突っ込みます（もちろんＡが４枚あることを確かめた上でね）。
   ２ オープナーは、ＨＣＰが２１点ないときは必ずその足りない分を補うだけの法外なロングスートを持っていなければなりません。ですから、どのみち同じように扱って大丈夫なのです。

   オープナーの２ オープンが軽すぎたと言うなら、なぜ、にもかかわらず７ＮＴのコントラクトでフィネスなしで頭からとれるトリックが１４個もあるんでしょう。全スートが７−０に分かれていたとしても１４トリックありますよ。これでパートナーが本当に２２ＨＣＰ持っていたとしたら、きっと１７トリックになったんじゃないかな。レッスンその１、”あなたが”グランドスラムをビッドすべきでした。

   レッスンその２、２ オープンに対しては、できる限り低くレスポンスし、パートナーにどんなタイプの手を持っているのか示せるようにしてあげることです。こんなに一気にビディングスペースを無駄にしてはいけません。このオークションではパートナーが最初にセカンドスートを示せる機会は既に５の代になってしまっているでしょう。それではもうエースアスキングも何もできなくなってしまいます。

   何も特別なシステムを使ってないとすれば、あなたは２ （ウェイティング）とレスポンスするのがよかったですね。パートナーの２ リビッドには２ＮＴ。パートナーは３ とビッドできる。そうすればここで、残りのスートの両方にコントロールがあり、両パートナースートに援助のカードを持っているあなたがブラックウッドを使うべきです。その後もう一度ブラックウッド（訳注：今度はＫアスキング）を使い、７ＮＴをビッドできます。

   ２ は非常に特別なオープンなのです。必ずパートナーの方があなたの手より強いわけで、あなたは道を譲って、パートナーに手を表現させてあげる、そして協力するんです。

   最後に、僕ならこのパートナーさんの手を２ でオープンするでしょうか？答えはＮＯ。２スーターのビッドは難しいのです。メッセージを交換するのにビッディングスペースがたくさんいる。確かに、この手はプレイングトリックの可能性は大きいけれど、僕なら１ でオープンして運を任せます。

(ACBLBulletin2001年６月号よりJCBLブリテン2002年１・２月号掲載)

 

プリエンプト−初級−

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